相続などで預貯金のほかに土地を相続するのは意外とよくある話です。
そんな土地を未活用のままにしておいても固定資産税がかかるだけの”負動産”になってしまいます。
しかし、土地を有効活用すれば、安定した収益を得たり、節税効果が期待できます。
収益が生まれることで生活費に余裕ができ、老後資金対策にもつながります。
一方で土地活用に興味はあっても、どの方法を選べばよいか迷う方も多いでしょう。
そこで、ここではおすすめの土地活用方法5選について解説します。ぜひ土地活用の参考にしてください。

Contents
土地活用とは
土地活用とは、所有する土地を有効に使い、収益を得ることです。使っていない土地でも、固定資産税や都市計画税がかかり、維持管理にもコストがかかります。
土地を活用すれば、収益を得てこれらの負担を軽減することが可能です。また、不労所得として生活の支えになったり、資産形成や老後資金の確保にも役立ちます。
土地活用の方法には、アパート・マンション経営、トランクルームやグループホームの運営、駐車場経営などさまざまな選択肢があります。予算や立地条件などに合わせて適した方法を選べば、賃貸収入などのインカムゲイン(運用益)を得ることが可能です。
また、土地をそのまま売却したり、建物を建ててから売ることで、キャピタルゲイン(売却益)を得る方法もあります。

土地活用のメリット
土地活用のメリットを理解することで、自身の土地を活用するかどうか判断しやすくなります。土地活用の主なメリットは以下のとおりです。
●収益が得られる
アパート・マンション経営や駐車場運営などの土地活用は、収益を得られる点がメリットです。毎月の家賃や駐車場の利用料が定期的に入るため、長期的に安定した副収入を得ることが可能です。また、土地活用に必要な資金をローンで借りた場合でも、運用益を活用して返済できます。さらに、将来的に土地を売却してまとまった資金を手にすることも可能です。安定した収益は家計の助けになるだけでなく、老後資金対策としても有効です。
●節税効果がある
土地を活用することで節税効果を得ることができます。更地のままでは固定資産税や都市計画税の軽減措置がなく、税金を満額支払う必要がありますが、建物を建てることで税負担を軽減可能です。
例えば、住宅を建てると「住宅用地の特例」が適用され、200㎡までの部分は固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に減額されます。さらに、200㎡を超える部分についても、固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2に軽減されるため、税負担を大きく抑えることができます。
●相続税対策になる
土地活用は相続税対策としても有効です。更地のままだと路線価による評価額が適用され、土地にかかる相続税が優遇されることはありません。しかし、建物を建てることで固定資産評価額をもとに計算されるため、更地のままより税負担が抑えられます。さらに、建物を賃貸に出すと控除が適用され、評価額をさらに引き下げることが可能です。
このように、土地活用には収益の確保や節税効果などのメリットがあります。

土地活用時の注意点
土地活用のメリットだけでなく、注意点も理解しておくことが大切です。事前に注意点を把握することで、リスク管理にもつながります。
主な注意点は以下のとおりです。
●初期費用がかかる
アパート・マンション経営、トランクルーム運営、駐車場経営など、土地活用を始めるには初期費用が必要です。土地の整備費や設計費、建築費、設備費、諸費用などがかかり、規模によっては1億円を超えることもあります。一般的に初期費用は高額になるため、ローンを利用するケースが多いです。
●ランニングコストがかかる
土地活用では初期費用に加え、維持管理にかかるランニングコストも発生します。管理委託費、設備の修繕・交換費、保険料、固定資産税、都市計画税など、さまざまな費用が継続的に必要です。これらのコストを上回る収益を確保できなければ、赤字になる可能性があるため注意が必要です。
●収益が安定しない場合がある
土地活用で安定した収益を得られるのが理想ですが、必ずしも収益が安定するとは限りません。例えば、アパート・マンション経営では、立地が悪いと空室リスクが高まり、期待した家賃収入を得られない可能性があります。また、空室が出た際にすぐ入居者が見つかるとは限らず、募集から契約まで時間がかかることもあります。安定した収益が保証されているわけではないことを理解しておくことが大切です。
●金利上昇のリスクがある
土地活用では、多くの方がローンを利用するため、金利上昇リスクに注意が必要です。特に変動金利を選択した場合、金利が上昇すると返済負担が増加し、計画通りの運用が難しくなる可能性があります。今後さらに利上げが行われる可能性もあるため、将来の金利動向を考慮しながら、適切なローンや金利タイプを選ぶことが大切です。
●土地の条件によって適した活用方法が異なる
土地活用の方法は、立地や広さなどの条件によって選択肢が限られることがあります。例えば、駅に近い好立地でも、土地が狭いとアパートやマンション経営が難しい場合があります。土地の条件によっては希望する活用方法が最適とは限らない点に注意が必要です。
このように、土地活用にはさまざまな注意点があることを踏まえて検討する必要があります。

おすすめの土地活用
土地活用の方法には、不動産賃貸経営やトランクルーム運営、駐車場経営などがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することで、自分に最適な活用方法を見つけやすくなります。
おすすめの土地活用方法と特徴は、以下のとおりです。
不動産物件運営
不動産物件運営は、マンションやアパート、戸建てなどを建設し、賃貸に出して家賃収入を得る方法です。入居者が確保できれば、安定した収益を見込めます。
不動産物件運営の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
●メリット
・長期的に安定した収益を得られる
・節税効果が期待できる
・将来的に売却が可能
不動産賃貸経営は、空室リスクの低い物件であれば高い収益が期待できます。さらに、耐用年数が長く(鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造は47年、木造22年)、減価償却による節税効果も大きいのが特徴です。賃貸収入による運用益に加え、将来的に売却してまとまった資金を得ることも可能です。
●デメリット
・空室や家賃の下落、災害リスクがある
・初期投資が高額になる
不動産賃貸経営には、空室や家賃の下落、金利上昇、災害などのリスクが伴うため、慎重な運営が求められます。例えば、複数の空室が同時に発生すると家賃収入が大幅に減少し、その間のローン返済や維持管理費を貯蓄などで補う必要が出てきます。さらに、初期投資には数千万円程度必要となるため、その分リスクも大きくなります。
不動産賃貸経営は、好立地の土地を所有している方や、長期的な節税効果を重視する方に特におすすめです。
参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
資材置き場運営
所有する土地を、建設資材や農業資材の保管スペースとして活用することも可能です。
資材置き場運営のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
●メリット
・初期投資を抑えられる
・転用・売却がしやすい
・幅広い土地で活用できる
資材置き場は、建物の建設や整地が不要なため、初期投資を抑えられるのが魅力です。契約終了後も、アパート経営や駐車場運営など別の用途に活用したり、売却しやすいメリットがあります。また、狭小地など条件の悪い土地でも活用しやすいのが特徴です。
●デメリット
・収益性は高くない
・節税効果は低い
・近隣トラブルが発生する可能性がある
資材置き場ではトラックの出入りが多く、砂ぼこりが発生しやすいため、近隣からクレームが出る可能性があります。また、通学路や交通量の多い道路沿いにある場合は、利便性が低下することもあるため注意が必要です。
都市部から離れた土地を有効活用したい場合には、資材置き場の運営がおすすめです。
トランクルーム運営
トランクルームを設置し、自宅の収納スペースが不足している人に貸し出すことで、毎月の利用料収入を得ることができます。
トランクルーム運営の主なメリットとデメリットは、以下のとおりです。
●メリット
・初期投資を抑えられる
・維持管理の手間や費用が少ない
・利用者とのトラブルが少ない
・幅広い土地で活用できる
マンションやアパート経営に比べて初期投資を抑えられ、維持管理費も少なく済むのが魅力です。利用者は荷物を預けるだけのためトラブルが起こりにくく、狭い土地や騒音の多い場所でも活用しやすいのが特徴です。
●デメリット
・収益性は高くない
・節税効果は低い
トランクルームの利用料は月数千円程度が一般的で、高い収益は見込みにくく、主な利用者も近隣で収納に困っている人に限られます。さらに、建物を建てるわけではないため、相続税などの節税効果も低めです。
立地条件があまり良くない土地を活用したい方には、トランクルーム運営がおすすめです。
グループホーム運営
主に認知症患者が利用するグループホームを運営する方法もあります。土地を福祉事業者に貸すほか、建物を建てて事業者に賃貸する選択肢もあります。
グループホーム運営の主なメリットとデメリットは、以下のとおりです。
●メリット
・節税対策として活用できる
・安定した収益が見込める
・管理の手間が少ない
土地や建物を賃貸すると「貸家建付地」となり、更地に比べて税負担が軽減されます。運営は福祉事業者に委託でき、長期契約が多いため、安定した収益が見込めます。さらに、建物の維持管理は借主が行うため、オーナーの手間もほとんどかかりません。
●デメリット
・他の用途への転用が難しい
・福祉事業者を見つける必要がある
・初期投資が高額になる
グループホームの建物は高齢者の共同生活向けに設計されているため、他の用途への転用が難しく、運営を終了する際には解体費用なども考慮する必要があります。また、運営開始には信頼できる福祉事業者を見つけることが大切です。
地域に根ざした貢献活動に活用したい方には特におすすめの方法です。
駐車場運営
駐車場として活用する方法も選択肢の一つです。
土地を駐車場運営会社に貸し出すことで、毎月固定の賃料が見込めるほか、駐車場の維持管理は運営会社が行うため、手間もかかりません。
駐車場運営のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
●メリット
・初期費用を抑えられる
・狭い土地でも活用可能
・安定した収益が見込める
・管理の手間がかからない
・他の用途への転用がしやすい
駐車場運営は建物を建てる必要がないため、初期費用を抑えられ、災害リスクも低いのが特徴です。狭小地や日当たり・風通しの悪い土地でも活用しやすい点も魅力です。また、設備の撤去が容易なため、売却や他の用途への転用にも柔軟に対応できます。
駐車場運営会社に貸し出す場合、立地条件にもよりますが、期待以上の賃料で借りてもらえることもあります。
●デメリット
・収益性は高くない
・節税効果は低い
一般的に、駐車場は利用料や賃料が低いため、アパートやマンション経営と比べると収益性は劣ります。また、建物を建てないため節税効果も期待しづらいです。

駐車場運営をおすすめする理由
駐車場運営は、土地活用の手段の中でも特に初期投資を抑えやすく、さらに災害リスクも低いです。また、駐車場運営会社に管理を任せることで手間もかからないためおすすめです。
駐車場運営の魅力やおすすめする理由について詳しく見ていきましょう。
初期投資が低額
駐車場運営の魅力は、初期投資費用が抑えられる点です。例えば、アパート・マンション経営では建築費がかかり、初期費用は数千万円から場合によっては1億円を超えることもあります。
一方、駐車場運営は、土地の整備や塗装、ライン引き、機器の設置などが主な費用となり、建物を建てる必要がないため、数十万円から数百万円で始められるケースもあります。そのため、ローンを利用せず、自己資金のみで運営することも可能です。
また、立地によっては運営会社が初期費用を負担して駐車場を整備する場合もあり、初期費用・ランニングコストが0で、毎月固定の賃料がもらえることもあります。
初期投資額が比較的少なくリスクを抑えられるため、駐車場運営は土地活用の中でも魅力的な選択肢です。
災害リスクが低い
災害リスクの低さも、駐車場運営の魅力の一つです。
例えば、アパート・マンションやトランクルーム、グループホームなどは建物があるため、地震や台風で被害を受ける可能性があります。建物が損傷した場合、保険に加入していても、補修費用や建て替え費用が全額補償されるとは限りません。
一方、駐車場は建物がなく設備も最小限のため、被害を受けてもその範囲は限定的で損害費用を抑えられます。また、人的被害のリスクも低くなります。
日本は地震や台風のリスクが高いため、これらの災害リスクを考慮して運用方法を選ぶことが大切です。
運用の手間がかからない
駐車場運営の魅力の一つは、土地を駐車場運営会社に貸すだけで、特に何もする必要がなく、手間がかからないことです。例えば、不動産運営では、建物の維持管理や修繕・メンテナンス、家賃回収、入居者対応など、さまざまな業務に手間がかかることがあります。
コインパーキングとして運用する場合、売上金の回収や消耗品の補充などの日常業務が発生します。また、駐車場機器の定期的なメンテナンス、事故やトラブルなど24時間365日対応も必要になります。土地を運営会社に貸し出すことで、このような管理はすべて運営会社が行うため手間がかかりません。
まとめ
土地活用を始めることで、収益の確保や節税効果が期待できます。
中でも駐車場運営は、初期費用を抑えられ、駐車場運営会社に土地を貸すだけで運営の手間が少なく、災害リスクも低いためおすすめです。一定の自己資金があれば、ローンを組まずに始めることも可能です。
気になる土地活用方法があれば、早速情報収集を始め、具体的に検討してみてはいかがでしょうか?